はじめに
全米デビューは残念な結果となってしまった。
1.2イニング 球数61 被安打3 奪三振2 四球4 失点2。一部スポーツニュースサイトでは、「大乱調」と報道されている。
MLBの日本での開幕戦の登板に続き、日米の野球ファンが望む結果ではないのは明らかだ。
とはいえMLBのシーズンは始まったばかりだ。たった2回の登板ではあるがチームや解説者は佐々木選手のデビュー戦をどう見たのか。
簡単にまとめてみよう。
全米デビュー、課題は何か?
日本でのMLBデビューに続き、全米デビューを終えた佐々木選手だが、改めて2回の投球内容を振り返る。

やはり四球だろう。1イニングに1つ以上四球を与えている。
被安打こそ多くないものの、カウントを取りに行った球を痛打されるという展開になり得ただろう。
日本プロ野球に在籍していた4シーズンの平均与四球率が、2.03。つまり9イニングあたりに2つの四球を与えるにとどまっていた。
しかし、MLBデビュー後まだ2試合ではあるが、与四球率は17.36にまで悪化している。野球の環境が変わったことももちろんだが、キャッチャーのリードの違いやボールの違いが影響しているはずだ。
特に2試合目の登板では、1イニングを終えた時点で球数が41にまで昇っていた。不運な安打もあったが、四球が2つ。シュート回転するストレートも気になった。
渡米後に四球率が悪化した選手の例として、ダルビッシュ有選手が挙げられる。下の表をご覧いただきたい。

ダルビッシュ選手も渡米1年目に9イニング換算で四球率が約1.5%悪化している。
それを受け、ダルビッシュ選手はフォーム改善を行った。今の投球フォームと1年目との投球フォームとではかなり違うことがわかる。上が1年目、下が昨シーズンである。
1,2回目の登板は期待したものではなかったが、ドジャースの監督のデーブ・ロバーツ監督は次回の登板機会も与えるとコメントしている。
今は新たな環境でアピールしている状態でまだ波に乗れていないだけ。我々は信じ続けている。これは(成長への)プロセス。深く考えることはせずサポートもし続ける。RONSPOより
もし仮に3回目の登板でも乱調してしまった場合、チームはどのような決断をするのだろうか?次に、今後考えられる対策を考えてみよう。
佐々木選手の対策①
個人的に今後ドジャースが取れる対策は2つあると思う。そして奇遇なことに、その2つが他ニュースサイトでも取り上げられていた。
その2つとは、マイナーで調整と中継ぎへの配置変更だ。
まず、マイナー調整に関してだが、これが一番の得策だと考えている。その理由は、アメリカ野球に慣れることができるからだ。
ボールの違い、天気や人工芝など野球環境の違いなど日米野球の違いは上げればキリがない。注目されているという彼なりのプレッシャーも感じているに違いない。
佐々木選手は若干23歳の選手だし、まだまだ発展途中の選手である。
加えて、ドジャースの選手層は厚い。
投手だけでいうと大谷選手もそうだが、怪我から復帰すればサイ・ヤング賞受賞左腕クレイトン・カーショー投手や2022年に16勝を上げたトニー・ゴンソリン選手も控えている。
焦って投げさせる必要がないのだ。育成の時間に当てた方が、双方のためだ。ドジャースとしても未来のエースをここで潰すのだけは避けたい。
CoCoKARAでも同様の記事を見かけた。
23歳の佐々木に対して、ドジャースは即座に成功を求めているわけではない。球団には他にも優秀な投手が揃っており、佐々木はキャリア初期の段階でじっくりと成長する時間が与えられる見込みだ。『CLUTCH POINTS』ローゼンタール氏
即戦力ではなく、育成に時間を当てた方がいいという見解はやっぱりあるわけだ。
佐々木選手の対策②
ドジャースが取り得る対策の2つ目は、中継ぎへの配置変更だ。
この中継ぎへの配置変更に関しては、野球解説者のジム・ボーデン氏が納得のコメントを残している。
どうせ彼(佐々木選手)の投球回数を制限するんだ、大谷かカーショーが復帰したら、もしくはゴンソリンが復帰したら、彼をブルペンに回してもいいんだ。ただただストライクゾーンをいっぱいに使って2イニング投げればいい役割で。ストライク先行で、攻めのピッチングをして、ストライクゾーン内に投げる。Full-Countより
投球制限という言葉には納得がいった。やはり、佐々木選手は育成が必要であるという見解だ。
160kmの直球と150kmのスプリットで打者を三振に仕留められることはオープン戦でも証明した。四球を恐れて彼の武器が無くなるとドジャースのエースから遠ざかるばかりである。
例えそれが1イニングであっても、マイナーではなく、メジャーのバッターと対戦するという経験・試合勘が得られる。おまけにドジャースの正捕手、ウィル・スミス選手とバッテリーを組めるというメリットもある。
佐々木選手の次回登板が、4/6、敵地でフィリーズ戦。今シーズンの優勝候補のチームの一つだ。次回の結果でフロントはジャッジを下すだろう。
さいごに
以上、佐々木朗希選手のMLBデビューと全米デビューの登板から見えた課題をまとめた。
これまであれこれ述べてきたが、結果で黙らせてほしいというのが正直な意見だ。
以前、どこかでこんな記事を目にした。「リリーフ投手が注目されるのは打たれた時」。佐々木選手は今まさにこの状態だ。
結果が出ないが故にあらゆるメディアが「炎上」「乱調」と報じる。もし次回登板で完封勝利でもしようものなら全てのメディアが手のひらを返すだろう。
それにシーズンは始まったばかりだ。シーズンが終わる際に、やっぱり佐々木選手はすごいなと言わしめる結果を1ファンは期待してしまう。
がんばれ佐々木選手!
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