はじめに
本屋へ行くことが趣味の一つだ。
本を買うのはもちろんだが、どんな本が今話題になっているのか、いわばウィンドウショッピングが楽しい。
そして先日、『コンビニ人間』が読みたくなり購入。
初版が2016年に発売されているものの、いつしかのウィンドウショッピングの影響で、その強烈なタイトルが忘れられずにいた。
本書は161ページと比較的少ないページ数ながら、内容が詰まった作品だ。読み終わった後に妙な感覚に陥る。また、後ほど知ったことだが、今作は2016年上半期の芥川賞受賞をしており、2018年アメリカ『ニューヨーカー』でベストブック2018に選ばれている。
簡単にまとめていく。
「普通」とは?
ページをめくるたびに「普通」ってなんだろう?と考えさせられた。
「普通」を辞書で調べたところ、
- 特に変わっていないこと
- ごくありふれたもの、こと
という検索結果が出てきた。想像しうる「普通」の意味なのだが、36歳独身、コンビニ店員である主人公がこの「普通」と葛藤している様子が描かれている。
普通の学生、普通の社会人、普通の生活、普通の仕事。
36歳女性、独身、コンビニ店員。これは「普通」に当てはまるのか?作中に関して言えば、答えはNOだ。
ただ、コンビニ店員でいる時間が、唯一「普通」でいられる、と話が進んでいく。なぜならそこには完璧なマニュアルがあるから。
新しいコンビニアルバイトが登場するが、マニュアル通りに動かない。言い換えれば、普通に動かない。結果周りからその人への風当たりはかなりきつい。作中の言葉を借りれば、異物扱いされる。
それを知った以上、主人公は余計に「普通」になることに拍車がかかる。
「普通」ってなんなんだ。読んでいる最中はもちろん、読み終わった後もこの問いが頭の中をぐるぐるしている。
さいごに
以上、簡単に『コンビニ人間』をまとめた。
2025年に読んだ最初の小説なのだが、まるで「普通」とは?を説いている哲学書みたいだ。芥川賞を受賞するだけあって、面白い一冊だった。
「普通ではない」側として描かれる主人公だが、あ、なるほど、となった「普通」の感覚に近いセリフがあった。
体調管理をして、健康な体をお店に持っていくことも時給の内だ。(中略)
この記事を書いている今、体調を崩しているのだが、納得した一文だ。
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