はじめに
今シーズンのMLBが開幕する前にこんな記事を書いた。
今シーズンが始まる前、FAやトレード、ポスティングなど選手が活発に移籍するのがMLBのお決まり。
中でも昨シーズンオフに注目を集めたのがニューヨーク・メッツ在籍、フアン・ソト選手。
大谷選手を超える過去最高額でニューヨーク・メッツと契約を結んだ。「すでに完成された打撃」と評されるその能力と若さにメッツは賭けたのだろう。
そういった選手の移籍や他チーム事情を加味して、MLB公式が各チームのパワーランキングを発表した。
このランキングはあくまで予想であり、シーズンが始まっていざ蓋を開けると、全く違う結果になったということもあり得るだろう。
そして、シーズンが始まって約2ヶ月、予想に反し、ダークホースが現れた。
MLB公式の予想
MLB公式による、シーズン開幕前のチームパワーランキングは以下のように発表されている。こちら
- 1位 ロサンゼルス・ドジャース
- 2位 フィラデルフィア・フィリーズ
- 3位 ニューヨーク・ヤンキース
- 4位 ニューヨーク・メッツ
- 5位 アトランタ・ブレーブス
昨シーズンワールドチャンピオンに輝いたドジャースがそのまま1位に君臨。
それもそのはず、昨シーズンオフに、サイ・ヤング賞投手のブレイク・スネル選手、過去20本塁打以上を4度記録しているマイケル・コンフォート選手、そして佐々木朗希選手が加入した。
FAで抜けた選手もいたが、その穴を埋め、ランキング1位に。納得である。
他にも直接対決であればドジャースを完全に抑えているフィリーズ、MVP選手を2人獲得したヤンキース、フアン・ソト選手を獲得したメッツなど納得のいく結果である。
では、シーズンが始まって2ヶ月が経とうとしている今、このランキングはどうなったのか。
開幕2ヶ月後のパワーランキング
では先にそのランキングを紹介する。
- 1位 ロサンゼルス・ドジャース
- 2位 デトロイト・タイガース
- 3位 ニューヨーク・メッツ
- 4位 サンディエゴ・パドレス
- 5位 ニューヨーク・ヤンキース
驚いたのは2点。
1点目はドジャースが1位であること。
今のドジャースのチーム状況は決してよくない。怪我による離脱者がかなり多い。
投手はFAで加入したサイ・ヤング賞左腕ブレイク・スネル、タイラー・グラスノー、ブレイク・トライネン、エバン・フィリップスなど。
野手では、テオスカー・ヘルナンデス、トミー・エドマン。
そして、佐々木朗希選手までもがインピンジメント症候群で離脱している。
ただ、驚くことにこのようなチーム状況にも関わらず、チームはナ・リーグ西地区で1位だ。主力が抜けても勝てる層の厚さ故にチームパワーランキングで1位なのだろう。
2点目は、デトロイト・タイガースが2位にランクインしている点だ。
誰が予想できただろうか?
ダークホース現る
とんだサプライズだった。
まさか、タイガースがランクインしてくるとは。
事前予想時、チームパワーランキングは11位にランクイン。全30チームがあり、上位にランクインしているものの、10近くもランクを上げるとは予想できなかった。
タイガースは現在、ア・リーグ中地区で1位にランクインしている。そしてこれまた驚くことに、チーム勝率.646はMLB全体1位だ。
まさにダークホースである。
では、なぜこんなにも勝てているのか?タイトルホルダーがずらりなのか?
答えは、いいえ、である。
タイガース内の1位の選手の成績は以下だ。
- 打率 ケリー・カーペンター .284
- 本塁打 スペンサー・トーケルソン 12
- 打点 スペンサー・トーケルソン 38
- 安打 ライリー・グリーン 50
- 防御率 タリク・スクバル 2.67
- 勝利 ケーシー・マイズ 7(リーグ1位)
- 奪三振 タリク・スクバル 71
昨シーズンのサイ・ヤング賞投手タリク・スクバル選手が期待通りの成績を出している。ケーシー・マイズ選手がリーグ1位の勝利数だが、野手陣に左右される。
リーグ1位と比較すればこれらの数字がより意味を持つだろう。
タイガースの選手とリーグ1位の選手を比較してみる。
- 打率 ケリー・カーペンター .284 アーロン・ジャッジ .401
- 本塁打 スペンサー・トーケルソン 12 アーロン・ジャッジ 15
- 打点 スペンサー・トーケルソン 38 アーロン・ジャッジ 41
- 安打 ライリー・グリーン 50 アーロン・ジャッジ 71
- 防御率 タリク・スクバル 2.67 マックス・フリード 1.29
- 勝利 ケーシー・マイズ 7(リーグ1位)
- 奪三振 タリク・スクバル 71 ギャレット・クロシェット 73
こうしてみると、アーロン・ジャッジ選手ばかりに目が行ってしまうが、一旦触れないでおこう。
冒頭に書いた、なぜこんなにも勝てるのか、という問いへの答えだが、結論はっきりしていない。そのためこの順位に驚いているのだ。
リーグ1位の成績を収めている選手が多いわけでもない。
ただ、強いて言うと、投打共にチーム成績が優れている点だろうか。
チーム打撃(打率、本塁打、打点、出塁率、長打率)
- 1位 ドジャース .270 80 266 .345 .477
- 2位 カーディナルス .266 46 221 .337 .409
- 3位 パドレス .261 41 181 .328 .349
- 4位 ヤンキース .261 79 255 .347 .475
- 5位 フィリーズ .260 49 215 .337 .407
- 6位 タイガース .260 60 245 .332 .422
チーム投手(防御率、四球、失点)
- 1位 メッツ 2.87 172 159
- 2位 ロイヤルズ 3.03 131 161
- 3位 ツインズ 3.20 116 159
- 4位 レンジャーズ 3.24 131 165
- 5位 ジャイアンツ 3.35 152 178
- 6位 タイガース 3.36 141 177
チーム打撃1位のドジャースはチーム防御率において、22位にランクイン。
カーディナルスが11位、パソレスが8位、ヤンキースが10位、フィリーズが14位だ。
タイガースは打撃・投手ともに6位にランクイン。
おそらくだが、投手はあまり点を取られず、一方の打撃はタイトルホルダーはいないながらたくさん打つ。これがMLB勝率1位になる所以だろう。
シーズンはまだ始まったばかりだが、このままチームがうまく機能すれば、MLB公式予想11位からの大下克上が起こるかもしれない。
さいごに
以上、シーズン途中のチームパワーランキングを紹介した。こちら
MLB好きの僕もこのランキングには腰を抜かしたものだ。
前評判が高くなかったものの、このまま行けばポストシーズン出場は間違いない。野球の醍醐味の一つではないか。
映画『マネーボール』でも、アスレチックスが戦略で勝ち上がったように、金満球団に対決する術を見せてほしいものだ。
今、タイガースから目が離せない。
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