はじめに
野球ファンにとって、
「マイク・トラウト」という名前はかなり馴染みのあるものになっているのではないでしょうか。
日本中が沸いたと言っても過言ではない、2023年のWBC決勝戦。
日本プロ野球と同等かそれ以上にMLBに興味のある自分にとって、
9回裏2アウト、大谷翔平選手とマイク・トラウト選手とのマッチアップに気持ちが昂ったのを忘れもしません。
前回大会のアメリカ代表メンバーは過去最高の顔ぶれが揃った中で、
チームの主将だった、また元チームメイトだったということもあってメディアが注目していました。
「マイクトラウトは、何がスゴいのか」
こんなことを思うファンもいるはずです。
この記事では何がスゴいのか。そしてそんなスーパースターの近年の不振に関してもまとめてみようと思います。
マイクトラウトは何がスゴいのか
では、まず簡単にマイクトラウト選手のことをまとめます。
2025年現在、34歳でロサンゼルス・エンジェルスに在籍。
2009年にプロ入りし、2011年に初のMLBデビューを果たし、そこから現在までMLBにて15年のキャリアを築いてきました。
自分自身、どちらかと言えば、日本プロ野球よりもMLBを好んで見ていました。
雑誌やYouTubeなど情報を得て、選手の活躍に胸を躍らせていたことを覚えています。
加えて、イチロー選手を筆頭に日本人選手が海外で活躍する姿に元気をもらっていました。
体格差は明らかであるにも関わらず、パワーやスピードでの真っ向勝負が面白かったんですね。
少し脱線してしまいました。
こういう背景もあって、活躍する選手の情報はある程度把握しており、マイクトラウト選手の活躍にも早いうちから気づいていました。
なぜなら、彼の実質1年目の2012年シーズンは、ダルビッシュ選手と新人王争いをしていたためです。
ダルビッシュ選手が海を渡ったMLB1年目に以下の成績を残しました。
日本では敵なし状態でしたし、環境の変化と制球に苦しみながらも1年目で十分な活躍をされています。
16勝9敗 191投球回 221奪三振 防御率3.90
ですが、ダルビッシュ選手はその年の新人王獲得とはなりませんでした。
新人王3位に選出され、2位には同地区のアスレチックスに在籍していたヨエニス・セスペデスが選出。
そして、1位に輝いたのがマイクトラウト選手でした。
それに2008年以来、当時5年ぶりの満票での選出であり、ぶっちぎりの1位だったんですね。
以下がシーズン成績です。
打率.326 本塁打30 打点83 出塁率.399 盗塁49 OPS.963 (盗塁はリーグ最多)
日本人としてダルビッシュ選手に受賞して欲しかったのはもちろんですが、
マイクトラウト選手の方が新人王にふさわしいと認めざるを得ませんでした。
日本プロ野球の歴史を遡っても、新人でトリプルスリーを達成した選手はいません。
それをさらっとやってのけたマイクトラウト選手は当時から
「スーパースター」の各印を押した選手の一人だったんですね。
マイクトラウトは何がスゴいのか②
MLBデビュー初年から「スター選手」だったことがお分かりいただけたところですが、
彼はそれ以降、ただの「スター選手」ではなく、「スーパースター選手」へと転身します。
以下、ざっくりと彼の獲得したタイトルをまとめます。
- 打点王
- 盗塁王
- シーズンMVP 3度 (MVP投票2位が4度)
- シルバースラッガー賞 9度
- ハンクアーロン賞 2度 (各リーグの最も活躍した打者に贈られる)
- MLBオールスターMVP 2度
- トリプルスリー *MLB史上最年少達成 新人での達成も初
- サイクル安打 *ア・リーグ史上最年少記録
若干28歳で、3度のMVPを受賞し、これがMLB歴代2位の記録。
そのシーズンの最も優れた打者に贈られるハンクアーロン賞を2度受賞。
マイクトラウト選手がどんな選手か?
その答えは、誰しもが認めるスーパースターです。
MLBらしいとも言える、パワーやスピードを兼ね備えたマイクトラウト選手。
彼のプレーを見る度に胸が高鳴りました。
個人的な話で恐縮ですが、
彼を一目見たくアメリカに旅行に行った際にボールパークを訪れたほどです。
オーラがありましたね。

過去の栄光
このような紹介をすればそのままスター街道まっしぐらと思っても決して不思議ではありません。
事実、WBCでも他スター選手がいながら多くのメディアが彼を持ち上げていますし。
ただ、残念なことに2019年を最後に彼の活躍は止まっています。
その原因が怪我です。
厳密には、2022年は除きます。
MVPを受賞した2019年、彼は45本の本塁打を134試合の出場で達成しているのに対し、
2022年は119試合で40本塁打と、ほぼ近しい記録を残しました。
しかし、2020年、2021年、2023年、そして2024年と怪我の影響でシーズンを棒に振っています。
出場試合数はそれぞれ、53、36、82、29と多くの試合を欠場しているのです。
過去盗塁王に輝いたものの、年々盗塁数は減少。それも怪我を防ぐためとも考えられます。
2018年から大谷翔平選手がロサンゼルス・エンゼルスに加わり、
大谷選手とマイクトラウト選手がホームランを打つことを「トラウタニ」と称し、
日米のスーパースターの共演がメディアでよく流れました。
しかし、大谷選手がロサンゼルス・ドジャースに移籍する2023年までの計6年の間、
シーズンを通して共演できたのは3年のみ。
他3年は怪我に泣かされてきました。
今年4月に大谷選手が、自身の活躍がピークとした30歳前後。
残念ながら、マイクトラウト選手はそのピーク時に怪我に悩まされるキャリアとなってしまいました。
さて、では話を今シーズンへと移します。
34歳で迎えた2025年シーズンはここまで104試合に出場。
例年に比べ、出場試合数は多いですが、その結果やいかに。
マイクトラウト、2025年シーズン成績
この記事を書いている時点での今シーズンのマイクトラウト選手の2025年シーズン成績が以下です。
出場試合104 打率.232 本塁打20 打点52 出塁率.362 盗塁2 OPS.791
はっきり言ってしまうと、
そこにかつてのスーパースターの姿はないように思います。
平均より上の選手です。OPSが.700前後が平均の選手とされます。
*OPSは出塁率と長打率を足した数字。優れた打者かどうかの一つの基準。
OPSが.800を超えると、優れた打者であると評価され、
MVPを受賞した際はこのOPSが1.0を超えており、「一流打者」とされます。
(2019年ハンクアーロン賞受賞時には1.088を記録)
今シーズン目につくのが三振の多さ。
104試合を終えた時点で、三振数は139。
まだシーズン途中ではあるものの、すでに自身のキャリアでワースト3位にランクインしています。
四球数72のおかげで出塁率は.362を記録しているのが救い。
球界屈指だった打棒は過去のもの、コンタクトする技術に衰えが見えています。
一般に、35歳前後で心身の衰えによる成績下降が指摘される中、
マイクトラウト選手も今年で34歳となり、概ねその既定路線に従っている形です。
イチロー選手のシーズン200本安打記録が途絶えたのは、36歳の頃でした。
しかし、少数ではあるでしょうが元ボストンレッドソックスに所属したデビット・オルティス選手は
彼が40歳で迎えたシーズンに以下の成績を残している。
出場試合151 打率.315 本塁打38 打点127 出塁率.401 OPS 1.021
デビットオルティス選手との違いがあるとすれば、守備機会につくかどうかが一つ挙げられます。
低下したとはいえ、OPS.800近い打撃能力を活かすにはDHへとシフトする日もそう遠くはないかもしれません。
さいごに
以上、マイクトラウト選手に関してざっくりとまとめました。
自分にとっての「スーパースター」が目に見えて衰えており、残念な気持ちになっていることは否定できません。
しかしながら、デビットオルティス選手のような例もあるのは事実です。
MLBの舞台で、もう一華咲かす姿を見たいと切実に願います。
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