はじめに
2025年のMLBは11/2に幕を閉じました。
ロサンゼルス・ドジャースとトロント・ブルージェイズとのマッチアップとなった今年のワールドシリーズ(以降WS)、優勝争いは第7戦までもつれ込む激戦。
その第7戦は延長戦まで突入し、結果的にドジャースが2連覇を達成しました。
昨年ヤンキースを相手に4勝1敗と圧倒していたのとは対照的で、
ギリッギリドジャースが優勝を勝ち取った、そういう印象を受けたWSでした。
下の記事にもある通り、今シーズン開幕時点で、チームランキングはドジャースが1位に君臨。
一方のブルージェイズは22位。
ドジャースの圧勝という予想は見事に裏切られ、大接戦となった今年のWS。

今一度、今年のWSを振り返ってみましょう。
対戦成績 「激戦」のワケ
まず始めに、今年のWSの対戦成績を振り返りましょう。
第1戦 ○ブルージェイズ 11-4 ドジャース×
第2戦 ×ブルージェイズ 1-5 ドジャース○
第3戦 ○ドジャース 6-5 ブルージェイズ×
第4戦 ×ドジャース 2-6 ブルージェイズ○
第5戦 ×ドジャース 1-6 ブルージェイズ○
第6戦 ×ブルージェイズ 1-3 ドジャース○
第7戦 ×ブルージェイズ 4-5 ドジャース○
今年のWSが今までのWSの中でも「激戦」と呼ばれるのは、第7戦までもつれ込んだからだけではありません。
第3戦は延長18回まで、また第7戦も延長11回まで続いたためです。
つまり、文字通り1点が遠い試合が繰り広げられたのです。
また先述したように、ドジャースが攻守ともに戦力差で優位とされる中、
先発投手に勝ちがつかなかったことが激戦であることを物語っています。
WSにおいて、ブレイク・スネル選手、山本由伸選手、タイラー・グラスノー選手、大谷翔平選手の計4名が先発し、勝利がついたのは山本選手のみ。
一方のブルージェイズは、シェーン・ビーバー選手とトレイ・イェサベージ選手に勝利がついています。
シーズン成績を見ても、チーム防御率が17位のドジャースと19位のブルージェイズとでは大差なかったように思いますが、試合を優位に進めたのはブルージェイズだと言えるでしょう。
エース級の投手が揃っているドジャースは、先発投手が機能していなかったんですね。
また打撃面においても、
ポストシーズン含むWSで、ドジャースの選手で3割を超えている選手が0であるのに対し、ブルージェイズは4選手が3割を超え。
シーズン成績でも、チーム打率MLB1位のブルージェイズと6位のドジャース。
こうやって見ると、ドジャースが勝てたことが不思議でなりません。
2024年WS王者たる、豊富な戦力で連覇が可能という大方の見立てに反し、泥臭く根性で勝ち取った優勝でした。
山本由伸とトレイ・イェサベージ
すでにご存知の方も多いように、
WSにおいて、山本由伸選手がMVPを受賞しました。
2009年、当時ニューヨーク・ヤンキース在籍の松井秀喜選手以来、日本人史上2人目。
打率.615 3本塁打 8打点の活躍で受賞。
山本選手の成績は以下。
3勝 17回2/3 防御率1.02
WS優勝のための4勝のうち、1人で3勝を上げる大活躍。ポストシーズンも含めれば5勝。
加えて、第7戦でのリリーフ登板も含め、その成績が示す以上の大車輪の活躍でした。
結果的にWSで3勝したわけですが、その起用法には驚いた方もいらっしゃるでしょう。
添付している動画にもある通り、
ブルペンには、クレイトン・カーショー投手と佐々木郎希選手が控えていました。
シリーズを通しての好成績、また別動画のインタビューでも言っていましたが
「中0日でも投げられる訓練を積んできた」ようで、監督がGoサインを出したのでしょう。
巨人に在籍する田中将大選手が、楽天イーグルスを日本一に導いたあの瞬間が脳裏をよぎります。
一方のブルージェイズなんですが、
本当にギリギリ優勝を逃したものの、シリーズ首位打者のブラディミール・ゲレーロJrの活躍はもちろんなんですが、トレイ・イェサベージが影のMVPでしょう。
特に、第5戦。
今シーズンデビューのルーキーが、敵地ドジャースタジアムの完全アウェーの中、
7回1失点 被安打3 奪三振12 失点1と完全に打線を沈黙させました。しかも敵地で、である。
WS第1戦、第5戦、第7戦のリリーフ登板。
山本選手と比べても決して見劣りしない大活躍。
ドジャース打線1~3番の「MVPトリオ」をバッタバッタと三振に取っていて、
ホームベース裏の観客の沸る戦意をへし折るかのような投球でした。
リリースポイントが高く、直球・変化球問わず、上から降ってくる感じなのでしょう。
そして、直球・変化球を投げる際に投球フォームがほとんど変わらず、見分けがつきづらい。
チェンジアップに空振り三振をする大谷選手も、捉えきれない感がありました。
ドジャースの3連覇は可能か
球団として史上初の2連覇を達成したドジャース。
最近連覇を達成したのは、2000年のヤンキースで、1998年から3連覇。
ドジャースは25年ぶりのWS連覇となり、、21世紀では初です。
では、果たしてドジャースの3連覇は可能でしょうか。
個人的意見になりますが、可能である、それが僕の意見です。ただ、障壁があるのも事実です。
今シーズンオフにチームからFAとなる主力選手は、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハス、クレイトン・カーショー選手。
カーショー選手は引退をすでに発表しているものの、依然ドジャースは投手陣に十分な厚みがあります。
今シーズン怪我で離脱している投手がざっと8人。
繰り返しになりますが、主力がこれだけ離脱しているにも関わらず、よく優勝できたな、という感想です。
課題の投手陣も、怪我がなければ、カーショー投手の枠を受けることが可能だと思います。
佐々木選手が、リリーフになるのか、はたまた先発に復帰するのかも見どころです。
課題があるとすれば、打撃陣の高齢化。
ドジャース打線の脅威とされるのは、大谷選手含む「MVPトリオ」。
50本塁打打つ選手が1番にいるチームは他にありませんし。
ドジャースはヤンキースに次いで、チーム本塁打数がMLB2位。
これは素晴らしいですし、他チームも頭を悩ませるでしょう。
ただ、同じことが来年も起きるかと言えば違うでしょう。
一般に身体の衰えにより成績の低下が起こり始める年齢が35歳前後。
WSのスターティングメンバーのうち、この35歳前後の選手が9人中7人。
例年通りの活躍ができる、と安易に計算するのは危うい気がします。
例えば、ムーキーベッツ選手。
2023年39本塁打を記録した翌年、本塁打は19本に。
大谷選手が2年連続50本塁打を記録したから、来年も50本塁打が打てるは安易すぎます。
ただ、そんなことにはドジャースも気づいているでしょう。
今季FA加入したマイケル・コンフォート選手の大不振を賄える選手がその枠に入れば、打線はさらに厚みを増すでしょう。
ムーキーベッツ選手がまた外野へ戻り、今シーズンオフにFAとなるブルージェイズ在籍のボー・ビシェット選手獲得し遊撃へ、というのも十分にあり得るでしょう。
WS第7戦を終えたその日から、
チーム編成はすでに来シーズンに向けて動いていることはずです。
さいごに
以上、今シーズンのWSを振り返りました。
ドジャースの球団史上初の連覇で幕を閉じましたが、来年やいかに。。。
シーズン中が面白いのはもちろんなんですが、
シーズンオフの選手の移籍も見どころの一つです。日本からも村上選手、岡本選手、高橋選手、今井選手が来シーズンMLB移籍を希望しており、こちらも見どころ。
球春到来まで約4ヶ月。
次シーズンにどんな物語が、記録が生まれるのでしょうか。

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